2008年05月08日

より良い人間関係を築くためのヒント ~5~

~5~ 聞き上手

少し前に買っていた本をようやく、このGWに読んだ。
広兼憲史さんの「聞き上手になるには」。

松下電器産業でサラリーマンを経験され、島耕作をリアルに描く
広兼さんが語る「聞き上手」とは?
「人の話を聞ける人」「聞き上手な人」とは、例外なく周囲の評価を勝ち得ている。
「聞き上手」・・・・・これは良好な人間関係を築くうえでのキーワード。
「聞き上手な人」とは、他者の話をきちんと聞ける人、会話をさり気なく上手にコントロールし、その場の雰囲気をよくしていける人。
別な言葉でいえば、サービス精神が旺盛で、他者を楽しませようとする人。

と記されています。

わたくしの学生時代の先輩に2回もヘッドハンティングされた営業マンがいます。
現在はアメリカの企業で営業担当の役員になっています。
数年前、同窓会の二次会で彼とテーブルをともにしたとき、成功の秘密が分かったような気がしました。

居酒屋での二次会。大きなテーブルを十数名が囲み、
雑談に花を咲かせていましたが、彼は他の人たちとは違うことに途中で気づきました。

ちゃんと人の話を聞いて、反応しているのです。

わたくしを含めて、他の人たちは、いい加減に反応しています。
話が聞こえていないのに適当に相づちを打ち、お酒も手伝って手までたたいています。
確かに、重要な話をしているわけではありませんけれど・・・

ところが、彼は「えっ? 何?」と耳を相手に向け、きちんと聞いてから「そりゃおもしろい」と笑うのです。
それに気づいてから他の人たちと見比べると明らかに話の聞き方が違います。
わたくし自身も大いに反省しました。なんという適当さ。恥ずかしくなりました。
営業マンとして誠実に顧客の話を聞き、最適な対応を続けてきたからこそ、今の彼があるのではないか・・・そう確信しました。

さて。
島耕作。嫌なことがあっても。
「ま、いいか」
「なんとかなる」とプラス思考で乗り切っていくのだそうです。
(漫画はじっくり読んだことがありません・・・)

広兼さんご自身も
「ま、いいか」
「それがどうした」
「人それぞれ」という3つのキーワードでやり過ごしていらっしゃるとのこと。

人づきあいにちょっと疲れたとき。ご一読をオススメします。

Ayumi・・・icon151でした。

・・・・・・・・・・・・・・・
広兼憲史「聞き上手になるには」日本実業出版社  発行社フォーユー
  


2007年12月22日

メールと携帯の返事。

今朝の日経の第2部に
「メールの連絡 過信は禁物」という特集がありました。

メールを送ると
メールは届くもの。
そして、相手は読んでいるもの。と思ってしまいますが、
相手が読んでいるかどうか、確認が必要ですね。
「きっと。こうなんだろうなあ」という思い込みはよくありませんね。

先日、わたくしもちょっと失敗をしてしまいました。
彼女から、いつもは早くレスが来るのですが、このときは、レスが来ません。
彼女は読んでいないから当然なのです。
悪いことに、彼女はブログを書いていますが、そのブログも数日間、
更新されていませんでした。

で。わたくしは、急がしいんだろうなあ・・・
だから、メールにも返事ができないんだろうな・・・と、思い込んでしまったのです。

返事がないときは、メール届いた? と連絡をしなければ、と学びました。

でも。返事が遅い、あるいは、返事のない人も多いですね。
たいした内容でなくても「届きました」ぐらいは必要なのでは?
メールであっても無視することは、相手を大事に思っていないと思われても仕方ありません。

そう言えば、先日、ある企業の方が部下をぼやいていました。

営業などに同行すると、電車の中や飲食店で、いつも携帯のメールを見たり、着信を確認している。
そして、こまめに返事をしている。

それなのに、野郎。
俺の電話やメールにはなかなか返事を寄こさない。
俺や会社よりも友人や彼女が大切なんだろうな。

日ごろのメールや携帯のチェックの頻度って結構、周囲から見られているものですよ。

あゆみでした・・・icon151





  


2007年10月10日

より良い人間関係を築くためのヒント~4~

あゆみです。icon151

大学で「社会心理学」の授業を担当しています。社会心理学は「人間の社会的行動」、つまり「人間が社会生活の中で、お互いに影響を与えながら、どのように行動するのか」を明らかにします。そして、そのテーマには「他者をより良く理解し、自分を適切に表現し、相互理解を深め、より良い関係を築くこと」に、いかに貢献できるか、があります。
 このシリーズでは、不定期ですが「より良い人間関係を築くためのヒント」を記します。

~4~ わたくしたちは相手をどのように認識するのか?
わたくしたちが、相手をどのように認識し、どのような印象を持つのか、という問題は、社会心理学では「対人認知」「印象形成」というテーマで取り上げます。わたくしたちは、相手がどのような人であるのかを「主観で」認識することで、相手の取る言動の意味を考えたり、相手の今後の言動を予測したりすることができ、それによって自分が取るべき言動を決めることが可能となります。

Schneider ら は、次のようなプロセスを経て対人認知、印象形成が行われると示しています。

1. 注意: 
    相手の存在に気づくこと
2. 速写判断:
    カテゴリー化された外観や行動から直感的に、あるいはきわめて
    ステレオタイプ化された判断をすること
3. 帰属: 
    相手がなぜ、そのような言動を取ったのかを知ろうとすること
4. 特性推論:
    帰属の結果、ある特性Aを持っている人は、他の特性Bや特性Cも持っているだろう
    (あるいは持っていないだろう)と推測すること
5. 印象形成: 
    その人が持っている特性から全体的な印象を作り上げること
6. 将来の行動の予測: 
    その人が将来、ある特定の状況において、
    どのような行動を取るかについて予測すること

このように相手に注意を向けて、相手の将来の行動を予測するまでのプロセスを経るのは、相手にずっと「注意や関心」を向けている場合に限られます。わたくしたちは、相手に対して自らの目標に関連した側面にしか注意や関心を持たず、目標が達成されれば相手への注意や関心はすぐに消えてしまい、このプロセスは途中で停止してしまいます。

電車の中で、お年寄りが乗車したときに「席を譲ろう」とわたくしたちが考えるのは、「注意」「速写判断」を行うからです。そして、通常は、これ以上、そのお年寄りを観察して、この人はどういう人だろう・・・ということを考えることはありません。

でも、そのお年寄りが「ご親切に、どうもありがとうございます」などと丁寧に声をかけてくれ、頭も少し下げたような場合は、自分が先に電車を降りるときには、自分もそのお年よりも会釈をしあうこともありますよね。相手の「将来の行動の予測」をして自らの言動を決定しているのですね。

・・・・・・・・・・
Schneider, D. J., Hastorf, A. H. & Ellsworth, P. C., 1979, Person perception 2nd ed., Cambridge, M. A.: Addison-Wesley.  


2007年09月23日

より良い人間関係を築くためのヒント~3~

あゆみです。icon151

 大学で「社会心理学」の授業を担当しています。社会心理学は「人間の社会的行動」、つまり「人間が社会生活の中で、お互いに影響を与えながら、どのように行動するのか」を明らかにします。そして、そのテーマには「他者をより良く理解し、自分を適切に表現し、相互理解を深め、より良い関係を築くこと」に、いかに貢献できるか、があります。
 このシリーズでは、不定期ですが「より良い人間関係を築くためのヒント」を記します。

~3~ 自分の優しい気持ちを表現して、相手に伝える。

 あるとき、バスの中で、このような光景を目にしました。

 70歳ぐらいの女性がバスに乗り込んできました。女性は車内、中ほどの手すりにつかまり、前を向いています。すると、すぐに、その女性に気づいた男子高校生が席を立って前に進みました。
「さわやかな高校生がいるものだなあ」とほほえましく思いました。

 しかし、その高校生の席は女性の少し後ろ。女性は席を譲ってくれたことに全く気がつきません。高校生は照れくさかったのでしょう。何も言葉をかけなかったのです。

 そのうち、次の停留所にバスが着き、乗ってきた男性が、その席に座ってしまいました。

 「あれあれ・・・。」
 
 結果的には、その女性の横に座っていた男性が気づき、その女性は座ることができました。

 けれども・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・

 このときから、思いやりや優しい気持ちは適切に表現して、相手に伝えることが大切だと思うようになりました。後方にいた私やだれかが「席を譲ってくれていますよ」と大きな声を出したり、次の停留所までが遠かったりすれば、その女性も気づいたのかもしれませんが、現代はそのような環境ではありませんよね。

 コンビニエンスストアの店長をしている知人が言います。
 「高校生のアルバイトの採用面接をするとき、短時間で判断することがとても難しい。よく言えば、ありのままで飾らない。少しズボンを下ろして、靴のかかとを踏み潰したまま、タメ口で面接を受けるため、きちんと働いてくれるのかどうか分からない。人手不足のため、この子、大丈夫かな? と不安を感じながら採用すると、気のよい子で、まじめに働いてくれることもあるし・・・」。

 第一印象が悪いと採用されないこともあるのです。残念ですが、自分の良さや人柄が、そのうち分かってもらえる・・・悠長な時代ではないのですね。良さを分かってもらえる前に、つきあいが終わってしまう恐れもあるのです。

 せっかく自分が持っている優しい気持ちや意欲は適切に「表現」し、相手に「伝えて」こそ、意味を持つのだと思います。「~2~」で書いたエチケットという知識やよいマナーは、優しい気持ちの表現方法、伝達方法であるともいえます。この点からもエチケットを得て、よいマナーを実践することの大切さをご理解いただけるのではないでしょうか。

 昨日の電車の中での出来事です。

 私の隣の座席が空いているところに、乗ってきた年配の男性が奥様に「ここに座りなさい」。私は、ご主人に席を譲ろうと「どうぞ」と立ちました。ところが、ご主人は、私の肩を軽くたたき「ありがとう。でも、大丈夫ですよ。どうぞ、おかけください」。奥様も「恐れ入ります。主人は元気ですから・・・」。

 ご主人は80歳を超えていると思われましたが、背筋がピンと伸びています。我先に乗り込んで、どかっと座りゲームに興じたり、携帯電話を操作したりする若者と比べると、とてもステキな男性、まさに紳士・・・でした。  


2007年09月20日

より良い人間関係を築くためのヒント~2~

あゆみです。icon151

大学で「社会心理学」の授業を担当しています。社会心理学は「人間の社会的行動」、つまり「人間が社会生活の中で、お互いに影響を与えながら、どのように行動するのか」を明らかにします。そして、そのテーマには「他者をより良く理解し、自分を適切に表現し、相互理解を深め、より良い関係を築くこと」に、いかに貢献できるか、があります。
 このシリーズでは、不定期ですが「より良い人間関係を築くためのヒント」を記します。

~2~ エチケットとマナー

 エチケットとマナーについて、帝国ホテルの山口勝氏は著書「美しいマナー教科書」(太陽企画出版)の中で次のように説明しています。

 「エチケット」は礼儀や世間の常識。いわゆる人づきあいを円滑にするための”常識的なルール”であり、社交の”型”、一方、「マナー」は、その”型”を理解したうえで、相手に対してとるべき態度や処置であり、社交上の”心”。

 「エチケット」を語るとき、「あの人はエチケットを”知っている”、”知らない”」という表現を使い、「マナー」の場合は「あの人はマナーが”よい”、”悪い”」と表現するのはそのためです。

 たとえば、同窓会パーティーに出席したとき。
 楽しそうに思い出話に花を咲かせているグループの中に、久しぶりに会う友だちを見つけました。けれど、その友だちは別の方と話をしています。そのとき、どうしますか?
 知り合いに会ったときに、あいさつするのは「エチケット」。ただし、相手が取り込んでいるような状況のときは、黙礼だけして、後からタイミングを見計らってあいさつをしに行くのが「マナー」。
 もし、ここで、強引に会話に割り込むようなことをしたら、「マナーの悪い人」と言われてしまいます。

 マナーは相手中心の発想、行動。つまり、自分が決めつけるのではなく、相手がどのような気持ちで、その言動を受け止めるのかが大事。

・・・・・・・・・・・・・・・

 より良い人間関係を築いていくために、特に、初対面の人とも良い関係を作らなければならないことの多い現代社会では「こういうときには、こうしたほうがよい」という知識、すなわち、エチケットは必要です。過去から積み重ねられてきた知識の集大成に頼らない手はないと思います。でも、そこには、TPOを把握する力やホスピタリティ(相手を思いやる心)が不可欠なのですね。

 「ありがとう」という言葉を知っていても、相手に感謝する心を持たなければ「ありがとう」という言葉を使う機会はきっとないでしょう。知識に相手を思いやる心をプラスして、よいマナーを表現できるようにしたいものですね。


・・・・・・・・・・・・・・・・
参考:山口勝「美しいマナー教科書」(太陽企画出版)。 
現在、こちらの本は手に入れにくいようですが、文庫本「マナー美人塾」(三笠書房)にも同様のことが記されています。
  


2007年09月17日

より良い人間関係を築くためのヒント~1~

あゆみです。icon151

 大学で「社会心理学」の授業を担当しています。社会心理学は「人間の社会的行動」、つまり「人間が社会生活の中で、お互いに影響を与えながら、どのように行動するのか」を明らかにします。そして、そのテーマには「他者をより良く理解し、自分を適切に表現し、相互理解を深め、より良い関係を築くこと」に、いかに貢献できるか、があります。
 このシリーズでは、不定期ですが「より良い人間関係を築くためのヒント」を記します。

~1~ エチケット・マナーの基本
 より良い人間関係を築くための基本は、友田二郎氏(1982)をもとに考えると、

1)相手を尊重すること
2)他人に迷惑をかけないこと
3)人に好感をもってもらうこと      にあると言えます。


1)「相手を尊重すること」とは、「自分のことと同じように相手のことを考えること」「自分がしてもらうとうれしいことを相手にもすること」でしょうか? ポイントは、尊重する相手を明確化することです。自分にとって大切な人にプレゼントをするとき、わたくしたちは「○○さんが喜んでくれるには?」と相手を特定し、何を、どんなふうに贈ろうか? などと考えますよね。

○○さんのことを自分のことと同じように考えて、○○さんが喜んでくれたり、気分よくなってくれたりする言動を心がけたいですね。


2)「他人に迷惑をかけないこと」とは、「他人が嫌がることをしないこと」「自分がされたら嫌なことをしないこと」です。迷惑要因には

 ・時間の迷惑(時間を守らずに、遅刻をしたり早すぎたりすること)
 ・音の迷惑(騒音、雑音、携帯電話での話し声やモバイルミュージックプレイヤーなどの音漏れなど)
 ・空間の迷惑(場所ふさぎなど)
 ・においの迷惑(タバコのにおいや香水のつけすぎ、悪臭など)
 ・接触の迷惑(触られたり、押されたりすることなど)
 ・見た目の迷惑(見たくないもの-カップルのいちゃつきなど)   に大別されます。

 迷惑をかける範囲は、自分が思う以上に広いことにも気をつけたいですね。自分は携帯電話に小さな声で話しているつもりでも話し声は意外に遠くまで聞こえていることもあります・・・


 そして「相手を尊重し、他人に迷惑をかけない」結果が、まず、3)「人に好感をもってもらうこと」につながります。しかし、これには少しスキル(技術)が必要です。好感をもってもらう対象がどのような人(たち)であるのか、どのような人間関係を築こうとするのか、どのようなコミュニケーションの手段が使えるのか、などを考える必要があります。これについては、改めて・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参考: 友田二郎(1982)「国際儀礼とエチケット」学生社。友田氏は、1)人に好感を与えること、2)人に迷惑をかけないこと、3)人を尊重すること、と記していますが、筆者が表現と順序を変えました。